前の記事でもお話ししていますが、
私は元生命保険営業マンです。
保険というものを知り、
保険営業の現場を知り、
顧客心理を知り、
ひとつの疑問が浮かびました。
保険に良いイメージを持たない人は多い。
なのに、保険に入る人が多いのはなぜなんだろう
ということです。
今回は、
保険嫌いと保険業界嫌いは違うというお話をしようと思います。
生命保険は好かれにくい構造を持つ
生命保険は、
他のどんなモノやサービスよりも納期が長い商品です。
病気や怪我、死亡時にはじめて納期が訪れる。
もしかしたら納期が訪れないまま乗り換えるかもしれない。
1契約単位でみると、
使うか使わないかわからないのに、
納期が長すぎて効果の実感が遠いのに、
ないと困るから契約せざるを得ない。
この、
必要性と効果効能の距離が非常に遠い性質
が好かれにくい要因のひとつ。
なのに、
日ごろから「もしも」を考えて生きているわけでは無いので、
どんな保険が必要なのかわからない。
もうひとつは、以前の記事でお話しした、
誰も悪くないけど、後出しじゃんけんが強く見えてしまう仕組み。
営業マンは、
頼んでもいないのにやってきて、
頼んでもいないのに提案をしてくる。
話を聞けば、
必要なのかもしれないと感じ、
契約に至る。
しばらく時間を置くと、
契約させられた感覚だけが残る。
たとえば、
スマホやタブレット、
家や車、
お弁当やお茶。
こういったものは、
「今これが欲しい」が先に立ち、
だから購入する。
でも、生命保険の場合は、
「欲しいわけじゃないけどいつか加入しなきゃ」
という義務感から加入を検討する、
税金のような仕組みになってしまっている
ことが最大の要因なのではないかと、
私は考えています。
営業マンは売ることが役割という側面もある
これは、営業マンを責める話でも否定する話でもありません。
役割という事実だけを抜き出すと、
生命保険会社は商品を売ることで継続的な経営が成り立つ。
商品を売るために営業マンを雇う。
営業マンは売ることで給料を得る。
つまり、営業マン目線では、
生命保険を売ることが役割であり、目的である
と言えるわけです。
ただし、
売れればなんでもいいという気持ちで売っている営業マンは
決して多くないと思っています。
顧客が納得して、安心して加入してもらうことをゴールと考えています。
しかし、顧客側は、
生命保険を税金のような性質と捉えている。
すると、営業マンを、
あの手この手で税金のようなものを徴収しようとする人
と見えてしまう人が少なくないことも構造上の必然だと思います。
そして、この構造が、
生命保険業界や営業マンを嫌いになってしまう要因のひとつ
とも言えるのではないでしょうか。
保険の目的を見失いがちな現代社会
私が日ごろ生命保険に関して思うことのひとつに、
人は生命保険の目的を見失っているのではないか
ということがあります。
- 掛け捨て保険は使わなければ無駄
- 貯蓄型保険は使わなくても返ってくるから得
- 独身ならだれにも迷惑をかけないから保険は不要
- まだ若いから保険は不要
こんな言葉をよく耳にします。
間違っているとは言いません。
確かにそうだなと思います。
ただし、これらは、
「お金の出入りの面だけを見たら」その通りであり、
「健康である現時点の視点だけで見たら」その通りである
ということなんですよね。
ありきたりな言葉ですが、
人はいつ健康でなくなるか分からない
ことは紛れもない事実です。
そもそも生命保険は、
お金の損得で加入するものではありません。
そうしたことを期待するならば、
投資などを活用する方が効率的です。
生命保険は、「もしも」に備えることが本質です。
独身だから、若いから、
まだ加入しなくても大丈夫。
確率論でいうならばそうかもしれません。
しかし、
「いつ健康でなくなるかわからないこと」
これらもまた事実です。
健康ではなくなったときに自分を守れる仕組みのひとつが
生命保険の役割であることを見失いがちである
というお話でした。

嫌いなのは生命保険なのか、生命保険業界なのか
もしもあなたが、生命保険業界を嫌いだったとして、
それは自然なことだと思います。
- 生命保険業界の構造
- 営業マンの役割の構造
- 生命保険の仕組み
これらすべてが、
少しずつ歪んで見えやすい
のは仕方ないことだと思います。
でもここで考えていただきたいことは、
生命保険業界が嫌いだったとして、
生命保険そのものは嫌いなのか?
ということです。
健康ではなくなったときに自分を守れる仕組みのひとつ
であることは紛れもない事実です。
守る対象は、
自分であり、家族であり、今まで通りの生活です。
自分や家族、生活を守らなくても良いと思う人は居ないのではないか
とも思うのです。
さいごに
私は今は保険営業マンではありません。
保険を売らなければならない立場ではない。
でも、生命保険そのものは今でも好きです。
なぜなら、生命保険は、
健康ではなくなったとき、
今までの生活を守るための仕組みだからです。
だから私は今でも、
生命保険業界が嫌いであることと、
生命保険そのものを否定することは、
別の話だと思っています。
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